著者:片山 晃/小松原 周|読了日:2025年12月14日
📘 本の概要

『改訂版 勝つ投資 負けない投資』は、短期的な売買テクニックではなく、
投資の本質的な考え方とは何かを丁寧に掘り下げた一冊です。
マーケットのノイズに振り回されず、
「何に」「なぜ」投資するのかを自分の言葉で説明できるようになることを重視しており、
初心者から中級者まで、長く手元に置いて読み返したくなる内容だと感じました。
🔍 印象に残ったポイント
① 投資の先にある問い
「なぜ、お金持ちになりたいのか?」
本書で特に印象に残ったのが、この問いです。
突き詰めていくと、多くの人は
「素晴らしい人生を歩みたいから」
という答えに行き着く、という考え方には強く共感しました。
本の中で紹介されていた事例や、海外の成功者たちが
- 財団を設立する
- 社会に寄付する
- 次世代のために資金を使う
といった行動を取っている姿を見ると、
最終的にお金は“人生の目的そのもの”ではなく“手段”である
という事実を改めて実感します。
投資を学ぶことは、同時に「どう生きたいか」を考えることでもある。
この視点を与えてくれる点が、本書の大きな価値だと感じました。
② 株価ではなく「企業価値」を見るという姿勢
本書を通して一貫して語られているのは、
株価を見るな。企業の価値を見よ。
という考え方です。
短期の値動きや市場の人気ではなく、
- その企業は何を提供しているのか
- 長期で価値を生み続けられる構造を持っているか
- 社会に必要とされ続ける存在か
といった視点で企業を評価することの重要性が、具体例を交えて説明されています。
これはバリュー投資の王道とも言える考え方ですが、
改めて言語化されることで、自分の投資判断を見直すきっかけになりました。
③ 「優れた社長に投資する」という視点
優れた社長に投資する
という考え方は非常に納得感があります。
優れた経営者は、
- 自社の強みと弱みを正しく把握する
- 市場環境の変化を読み取る
- 組織を適切にマネジメントする
といった能力に長けており、
必ずしも突出した技術や商品がなくても、競争を勝ち抜く力を持っています。
これは、実際に組織や人を見る立場にいる人ほど、深く理解できる視点だと思います。
④ 個人投資家としての現実的な落としどころ
一方で、私たち自身は、機関投資家ではないので、投資先になるような企業の社長に直接インタビューするのは難しいため、
個人で「優れた経営者」を見極めるのは難しい。
この前提に立った上で、
- 日常的に使っていて「良い」と感じるサービス
- 知人にも自然に勧めたくなる商品
- 今後も成長していきそうだと直感的に思える企業
こうした身の回りの実体験を起点に投資を考えるという姿勢は、
個人投資家にとって非常に現実的で再現性のあるアプローチだと感じました。
📝 こんな人におすすめ
- 投資の軸をしっかり作りたい人
- 短期売買に疲れてしまった人
- 企業価値・経営者視点で投資を考えたい人
- お金と人生の関係を深く考えたい人
⭐ 総評
『改訂版 勝つ投資 負けない投資』は、
「どう儲けるか」よりも「どう考えるか」を学べる投資書です。
投資を通じてお金を増やすことはもちろんですが、
その先にある人生の目的や価値観まで含めて考えさせてくれる点で、
非常に示唆に富んだ一冊でした。
投資に迷ったとき、
「自分は何のために投資しているのか?」
を思い出すために、何度でも読み返したくなる本です。
