著者:山崎俊輔|読了日:2025/12/3
📘 本の概要

『普通の会社員にもできる 日本版FIRE超入門』は、山崎俊輔氏が「日本の社会制度・雇用環境に即してFIREを現実的に検討する」ために書いた実践的な入門書。
米国生まれのFIREムーブメントをそのまま輸入するのではなく、日本の年金制度、税制、雇用慣行、資産運用環境に合わせて、“無理なく到達できる方法”を提示していることが特徴です。
『普通の会社員にもできる 日本版FIRE超入門(Kindle版)』
🔍 印象に残ったポイント
① FIREまでのステップが体系的で、日本の制度にも詳しい
本書は、FIRE達成のためのステップを
「貯める → 増やす → 減らす → FIRE後の生活設計」
と順序立てて説明しています。
特に、
- 年金の繰上げ・繰下げ
- 企業型DC・iDeCo・NISA
- 医療・介護などの保障制度
といった 日本固有の制度 を丁寧に解説しているため、米国FIRE本より現実感があると感じました。
② 年代別シナリオが実践的(40代・50代・プチFIRE)
40代FIRE・50代FIRE・プチFIRE(定年前後)
など複数のケーススタディが示されているのが本書の魅力。
- ガツガツ早期にリタイアを目指す人
- 定年前の数年だけ働かずに自由時間を確保したい人
- 一部だけ働きつつ生活を軽くする「サイドFIRE」志向
など、自分に近いシナリオを探しながら読むことで理解が深まります。
③「なぜFIREしたいのか?」という根本を考える必要性
FIREを目指すと、
- 節約がストレスになる
- 仕事を辞めると社会とのつながりが減る
- 急に暇になって何をしていいかわからない
という問題が現実的に起こりうるため、
“FIREそのものが目的化してしまう危険” は確かにあります。
率直に本書を読んで、下記のような感想を持ちました。
FIREのための節約が本当に幸せなのか?
働かないことで社会とのつながりが失われる人も多いのでは?
これは多くの人が見落としがちな視点で、実に大切なポイントです。
本書は、単に「FIRE最高!」と煽るのではなく、
FIREの意味やFIRE後の人生への向き合い方を考えるきっかけを与えてくれる本
という印象でした。
④ FIRE後をどう生きるか=“人生の再設計”の本
本書の良い点は、
FIREをゴールではなく、人生を見つめなおすための節目
として捉えていること。
目標に向かって努力することは意味がある
FIRE後の生活をしっかり考えることが大事
ここは本書が伝えたい核心であり、私も強く思ったことと一致しています。
結局、
- 経済的自由
- 時間的自由
- 働くかどうかを選べる自由
それらをどう使うかは自分次第。
「FIREに成功しても、人生に失敗しないように」という作者のメッセージが全体から伝わってきます。
📝 こんな人におすすめ
- 日本版FIREを現実的に学びたい会社員
- 40~50代の“遅めのFIRE”を目指す人
- プチFIRE・サイドFIREに興味がある人
- FIRE後の人生設計も含めて考えたい人
⭐総評(まとめ)
『日本版FIRE超入門』は、
FIREを目指す人だけでなく、働き方やお金との距離感を見直したい人へのヒントが多い一冊。
FIRE後の生活、社会とのつながり、働く意味など、
“生き方そのもの”を考えるきっかけになります。
一気にFIREを目指すより、
自分に合ったペースで“選択肢を増やす”という視点で読むと、より価値が高まる本だと感じました。

